2145日の遠藤エミ

デビュー6年目の昨年はA1級を2期継続。さらに2度の優勝を果たし、G I レディースチャンピオン、クイーンズクライマックスへも初出場した遠藤選手。滋賀支部で今最も旬な女子レーサーが選手生活2145日目に語ることとは?
取材日:2014/3/20
飛躍の2013、14年
A1級として過ごした昨年について聞かせてください。
A1級になってから級をキープしないといけないという思いが強くなりました。レース面では、B級のときよりインコースの番組が増えてレースがしやすくなってきたんですけど、その分きっちり勝たないといけないと感じます。
自身2度目の優勝となった2013年1月の丸亀・W優勝戦については?
優勝戦は1号艇で01スタートだったので、ここで逃げられないと自信をなくしているところでした。だから逃げで勝てたことは大きかったですね。インとアウトでは緊張感が違います。優勝するにはインコースが一番有利だと思いますが、気持ち的には外からの方が攻めやすく、強気にいけますね。

■優勝戦結果
2013/1/21 第12R(丸亀)
登番 選手名 進入 ST タイム
1 1 4502 遠藤 エミ 1 0.01 1.46.6
2 6 4642 松尾 夏海 6 0.12 1.47.7
3 3 4450 平高 奈菜 3 0.08 1.49.5
4 2 4349 犬童 千秋 2 0.10 1.50.8
5 5 4190 長嶋 万記 5 0.06 1.52.4
6 4 4011 堀之内紀代子 4 0.08 1.53.6
■優勝戦結果
2013/4/18 第12R(蒲郡)
登番 選手名 進入 ST タイム
1 3 4502 遠藤 エミ 3 0.16 1.47.4
2 4 4190 長嶋 万記 4 0.10 1.48.9
3 1 4208 三浦 永理 1 0.18 1.50.0
4 2 3993 永井 聖美 2 0.13 1.51.6
5 6 4450 平高 奈菜 6 0.17
6 5 3999 大瀧明日香 5 0.16
続く4月の蒲郡・女子リーグ戦での優勝については?
予選から手応えがあったわけではなかったですね。優勝戦の直前までバタバタで、最後の試運転後にペラを叩いたら行き足と伸びがなくなってしまって、スタート展示でもうダメだと思いました。本番ではスタート時、4号艇・長嶋万記さんの気配が良かったので、これは自分が先に回らないと舟券にも絡めないと思い、まくりに出たら、なぜかまわり足が良くて優勝することができました。
初出場した8月の鳴門・G1レディースチャンピオン(女子王座)と12月の芦屋・クイーンズクライマックスシリーズ(賞金女王)はどうでしたか?
レディースチャンピオンに関しては、自分では鳴門が得意だと思ってたんですが全然ダメダメでした。クイーンズクイマックスは、直前に気分転換をかねて海外旅行に行ったんですが、レースはうまくいかなかったですね。ただ、もう少しで決定戦に乗れたこともあって、以来、賞金ランクを強く意識するようになりました。実際にシリーズ戦を走ってみて、決定戦を目指して走らないといけないと感じました。今、賞金ランク7位(3/20現在)で、年末のクイーンズクライマックス出場を目指していますが、今年に入ってから全然上位着に入れていないので、まだまだですね。勝率もレースが終わるごとに確認しています。
今年2月の住之江・G1近畿地区選に出場して感じたことは?
やっぱりレベルが違いすぎました。周りの選手はスタートも進入のキレも違うし、1マークもスピードがあります。普段のレースとは全てが違ったので、まだまだ自分には足りないことがたくさんあると痛感しました。でも、その分精神的に強くなれたと思います。
女子戦と一般戦(男女混合戦)の違いは?
レーススピードとコース取りの激しさですね。一般戦だとコース取りでみんな動いてきますが、女子戦はそこまで動かないです。あと女子は全体の人数が少ない中で勝負しているので、選手ごとの走りの特徴がわかりやすいですね。一般戦だと「この人はどういう風に旋回するんだろう」って考えてレースに挑みます。
Myレーススタイル
過去の自分と比べて成長したところは?
男子レーサーに交じって一般戦を走ることで精神的に強くなれたと思います。逆に成長できていないところは……それ以外全部ですね。課題だったウイリーもまだまだうまくいきません。ターンの出口で舳先を浮かすと出足が違ってくるので、できるようになりたいですが簡単にはいきません。
成績のムラは解消できてきた?
まだムラがあります。あとはペラの調整力ですね。たとえば、1着を取っても展開でたまたま…という場合もあるので、調子がいいとは思わないです。
レーサーとしての強みは?
握っていく全速戦です。今でも全速でいくのは怖いですが、男子に負けないスピードをつけられるようにずっと握る練習をしてきたので、成果は出ていると思います。G1だとまだまだ技術が追いついていないと感じていますが、女子戦は勝たなきゃいけないと思ってます。
師匠・深井利寿選手のようなスピード戦を目指している?
はい、すごく意識しています。深井さんの握っていくところが好きなので。自分はインコースの回り方を知らないのでまだまだ未熟だと感じます。でも今日の練習で、馬場さんにインからの旋回について相談できたので、次から大丈夫だと思います。具体的には直線の走り方とハンドルの切り方などを教わったんですが、今日はすごく成果がありました。
スタートに自信がある?
昔はスタートに自信があったんですが、F2してからあまりいかないようになりました。でも近畿地区選でみなさんのスタートが速かったので、そこからまた意識し始めてから最近は速くなったと思います。
自分の性格とは?
遠藤(以下、遠):……。
同席していた友人の樋口ゆかり選手に訊いてみました!
樋口(以下、樋):エミは人に気を遣い過ぎるところがあります。レースでキャビったりして人に迷惑かけたときは、いつまでも気にしているんですよ。でも自分の失敗に対してはクヨクヨせず前向きです。そこがとても良いと思います。
ボートボーイ(2013年1月号)の「選手が選ぶ負けず嫌いな選手」ランキングで第3位にランクインされていますが。
:自分ではそこまで負けず嫌いだとは思ってないです。たぶん顔がこんなんやから、周りから見たらレース後にすごく悔しがっているように見えるんだと思います。
:でも悔しいのは悔しいでしょ?
:昔は「みんな巧いから仕方ないよな」って考えでしたが、周りからは「負けず嫌いじゃない性格はレーサーとして致命的だね」って言われて。最近、成績が上がってG1などのレースにも出場するようになってからは徐々に「悔しい」という気持ちも強くなってきました。
プライベート
最近ハマっているものや趣味は?
ももクロにハマっています。れにちゃん推しで、この前もライブに行きました。ももクロのライブとびわこのレースがかぶったら?……(小声で)ももクロの方に行きますね(笑)。休日は家にいることが多いです。滋賀県ではあまり遊ばずに、レースで地方へ行ったときの前泊や後泊でどこか行くことが多いですね。
姉・遠藤ゆみ選手との関係については?
お互い仕事があるので一緒に住んでるのに2カ月くらい会わないこともあります。二人で家にいるときにお姉ちゃんに「レースを見てほしい」と頼まれたら、一緒に見てアドバイスします。
姉妹レーサーのメリット・デメリットは?
:メリットあるかな……。
:お姉ちゃんからしたらすごくあるんじゃない?
:姉がいて心強いです。
:ここの姉妹は立場が完全に逆転しているんですよ。お姉ちゃんがやさしくて、エミは強く言うタイプで、性格も全然違います。レースについてもエミが一方的に指導している感じ。でもそれはすごくうらやましい関係だと思います。こんなにレースについて深く話せたり、教えてもらえる人が身近にいることは普通ないので。
:私が強く言うことの方が多いですけど、負けず嫌いなのはお姉ちゃんです。でも負けず嫌いのくせにやさしさが先に出てしまうから気持ちが弱い。レースもそのやさしさで負けていると思うことがあります。
:レースに対して貪欲なのはエミだね。
:もっとエンジンを出したいとか、レース面に関しては私の方が貪欲かもしれないですね。
お姉さんがきっかけでレーサーを目指した?
:お姉ちゃんがいなかったら、私はここにいなかったですね。二人でびわこボートに来てレースを観たときにかっこいいって感じて、それでレーサーを目指したいと思いました。
エミ選手が先に合格したことについて、ゆみ選手は何か仰いましたか?
:二人で102期を受験して私だけ合格したんですが、お姉ちゃんは年齢制限で102期の試験が最後だったので、「私の分もがんばって」と言われ、お姉ちゃんのためにもがんばらないといけないなって強く思いました。そのあと、年齢制限の制度が変わり、お姉ちゃんもレーサーになれたときはすごくうれしかったです。
:エミ泣いてましたよ。お姉ちゃんの水神祭のときも泣いてました。お互い心配し合っているのが伝わります。言葉はきついんですけど(笑)。
今後の目標は?
:クイーンズクライマックスに出たいです。でも今のままではダメだと思います。成績のムラをなくさないといけないですね。あと上位にならないといけないところで、取りこぼすことも多いので。気持ちが空回っているのかもしれないので改善したいです。
:調子の良いときのエミならいけると思います。
ファンのみなさんにメッセージをお願いします。
これからも「攻めるレース」をしていきますので応援よろしくお願いします!